昨夜(8月27日)のテレビ報道や、今日(8月28日)の日経新聞の1面でも取り上げられてましたが、アメリカの中央銀行FRBのパウエル議長は27日の講演で、量的緩和の縮小開始について『年内に開始するのが適当だろう』と表明したと報道されてます。
※日経電子版ではトップ記事として扱われています。
日本の10年債も利回り上昇した
同じく8月28日の日経新聞17面のマーケット情報で、『長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは上昇(価格は下落)した。-中略- 米連邦準備理事会(FRB) の高官が早期の量的緩和の縮小を示唆したことで26日の米長期金利が上昇し、国内債に売りが波及した。』と報道されています。
日本経済も当然ですが、世界マーケットの影響を受けます。
アメリカの株価が上がると、翌日の日本の株価も上昇することが多くあります。
債券(国債)市場も同じように海外のマーケットの影響は少なからずあります。
それがどうして住宅ローンの金利に関係するの?
住宅ローンの金利は基本的に新発10年物国債の利回りを指標として連動しています。
つまり、国債の金利が下がれば住宅ローンの金利も下がりますし、国債の金利が上がれば住宅ローンの金利も上がります。
じゃぁ、住宅ローンの金利もあがるの?
もちろん、恒常的に長期金利(国債の金利)が上昇すれば住宅ローンの金利も上昇します。
とはいえ、報道によって長期金利(国債の金利)が上がったからといってすぐに住宅ローンの金利が上がるということはありません。
マーケットは情報に対して敏感に反応しますので一時的に上がったり下がったりしますが、それがすぐに住宅ローン等の金利に影響するということではありませんが、長期金利(国債の金利)が上昇したまま推移すると住宅ローン等の金利にも影響が出てくることは間違いありません。
過去から学ぶ住宅ローン金利
実は、日本でも過去に量的緩和政策の解除が行われ金利が上昇したことがあります。
2001年3月に初めて量的緩和政策が導入され、長期金利(国債の金利)が下落に転じ、住宅ローンの金利も下落しました。
そして、2006年に景気が上向きに転じたということで量的緩和政策が解除されました。
すると1年余りで住宅ローンの金利は一気に上昇しました。
その直後にとんでもないことが・・・(;゚Д゚)
しかしその直後の2007年、アメリカで低所得者向けの住宅ローン『サブプライムローン』が破綻し、そのことがきっかけとなり1年後の2008年にリーマンショックが起き世界経済が暴落し、再び金利の下落が始まり現在に至ってます。
実は3年前、日本でも・・・
実は3年前の2018年4月、日本の中央銀行『日本銀行』の黒田総裁が再任されたときの記者会見で、『最後の任期となるこの5年の間に、タイミングを見て金融緩和政策の終結を行う』と発表していました。
その発言から僅かではありますが住宅ローンの金利は上昇しました。
どうでしょう?
この時、『この5年間で・・・』と発言しただけで実際には金融政策は縮小されてもいません。しかし金利は少し上昇しました。
このように日本銀行の総裁が発言をしただけで市場金利は動いてしまいます。
ましてや世界経済の中心国であるアメリカの中央銀行のトップが発言をしたとなると世界のマーケットは反応することになるのです。
今後の長期金利(国債の金利)に注意が必要
コロナ禍で景気が不安定で低迷している日本にとって、今すぐ金利が上昇するとは考えにくいと思いますが、経済がグローバル化した現在、アメリカをはじめとする海外マーケットの影響は少なからずあります。
今、変動金利で住宅ローンを組んでいる方や、これから住宅ローンを組むという方は住宅ローン金利の指標となる国債マーケット(国債市場)を注意してみていく必要があると思います。
最後にもう一度お伝えします。
住宅ローンの金利は長期金利(国債の金利)を指標にして動いています。
今後の国際市場の動向は住宅ローンの金利に影響しますので、注意深く見ていく必要があると思います。